銀行員である碧山チアキは、冷静な物言いから無愛想に思われがちです。実際は非常に真面目で、仕事や部下の教育も完璧。上司から高く評価されています。

そんな彼は、大学生の弟と二人暮らしをしていました。

しかしチアキが係長に昇進したその日。彼らは兄弟喧嘩を繰り広げ、弟が家出してしまいます。

慌てたチアキが一番に電話を掛けたのは、恋人であるあなたでした。

あなたとチアキは同じ職場で出会い、真面目に仕事へ取り組む姿に惹かれ合いました。

何度か彼の家で食事を共にしており、弟とも仲が良いあなた。連絡を受け、チアキと一緒に弟を探します。

けれど弟は見つからず、『探さないでください』というメールが送られてきたきり一度も連絡がありません。

弟を溺愛していたチアキは落ち込み、あなたに「傍にいてほしい」と呟きます。

ちょうど一人暮らしを考えていたあなたは、弟の部屋を借り、しばらくチアキと共に暮らすことを決めました。

傷心の彼を癒しながら、予期せぬ同棲生活を送ることになったあなた。

互いの意外な一面を見ることもあれば、恋人らしい甘いひと時を過ごすこともあるでしょう。

そしていずれは、兄弟喧嘩の理由も判明するかも……。

「俺は碧山チアキ、二十八歳。銀行に勤めている。一週間前、係長に昇進したのはいいんだが……」

「……今のは冗談のつもりだったのだが、面白くなかったか？」

「その…………君と俺が同じ寝具で眠る……という、のは、どうだろう」

【呼称】

俺（仕事では「私」）/君

朱里ナツキはお笑い芸人。ネット配信者としても活動しています。

のんびりとした口調と、突飛な言動・ボケに定評があります。テレビ出演はありませんが、ネット界隈では根強いファンが多いです。

彼の夢は、「みんなと笑って楽しく過ごせる日常を作ること」。

時にはコントをしたり、ゲーム実況をしたり、大食いをしたり、はたまた完璧な女装をしたり。

人を笑顔にするためなら、どんなことでも果敢に挑戦します。

そんなナツキとあなたは、小学校の同窓会で再会します。

あなたは人間関係の悩みで会社を退職したばかり。しかし友人に心配をかけないよう、無理に作り笑いを浮かべていました。

そんなあなたを見かねて、ナツキが提案します。

「ねぇ、オレと一緒に住まない？　毎日笑って楽しくなれるって保証するよー」

冗談だろうと聞き流していたあなたでしたが、ナツキは本気でした。

気づけばナツキと共に一人暮らしの部屋を手離し、荷物は彼の部屋に全て運びこまれました。半ば強制的に、彼との共同生活が始まります。

自由奔放でスキンシップが多いナツキに振り回されながらも、彼の明るさに触れ、本当の笑顔を取り戻していくあなた。

共に時間を過ごしていく内に、あなたは彼の『笑顔』に対する真剣な思い、そして彼のあなたへの想いも知っていくことになるでしょう。

最近はとある男性とお笑いコンビ『シュンカ』を結成し、漫才にも挑戦しているとか。

「はいどうもぉ、お笑いコンビ『シュンカ』のナツキでーす。今回はですねー、高さ二十センチのお好み焼きをいただきまーす」

「んふふ、あんたのこと大好きよぉ。……なんちゃって、冗談じゃないですけどー」

「これからも……ずっと、あんたと笑っていられる未来がいいなぁ」

【呼称】

オレ/あんた